My Magic Dairy › とにかく、オイラ付いて行く

とにかく、オイラ付いて行く

2021年03月07日

とにかく、オイラ付いて行く。」「しかし、大丈夫か?。」「何か有るにしても、時には、オイラもハンベエ抜きで切り抜けなきゃあねえ。」ロキがそこまで言うなら仕方ない。ハンベエは同行を諦めた。 モンタに手を引かれ、ロキはゲッソリナの大通りを歩いて行った。心なしか、ハンベエと乗り込んで来た時よりは人通りが増えている様にも思える。背には風呂敷包みに十食分の弁当を背負っている。結構な荷物だが、ロキは別に苦にする風も無い。荷物を負うのは慣れている。このロキの姿を見咎めた者がいた。(おやまあ、ロキじゃないか。あんな小さい子に手を引かれて何処に行くのやら。)陽射しを弾く薄小麦色の光沢艶やかな肌、爛と妖しく光りそれでいて吸い込まれそうに黒い瞳、さらさらと風に靡く黒髪、均整の取れた八頭身に深緑のマントを羽織ったその人物は、遠目にロキの姿を打ち眺めて微かに首を捻った後、民家の石造りの囲いの壁に身を寄せるとふっと気配を消した。不思議の事には、" As you grow older, your skin changes-and so should your beauty products No matter what your skills are when it comes to skin care and make up application 季節の変化は私たちの体に大きな影響を与えます 今日の美しさに関する情報の過多により"その直前までは目にする者は必ず振り返るであろうと思われるほど輝きを放っていたその人物が、道縁にある見飽きた草ほども目立たなくなってしまった事である。既にお察しの向きも有ろうが、イザベラであった。 王女エレナの軍はまだゆるゆると進軍しているであろうに、エレナと共にいるはずのイザベラが何故此処に?大方ハンベエやロキ同様、退屈な行軍に辟易の余り飛び出して来たものであろうか。考えて見れば、軍の中枢で行儀良く収まっているような柄じゃない。 ロキを見付けた故にか、イザベラは悪戯っぽい笑みを浮かべていた。見ようによっては、謎めいた妖しい微笑である。さて、ロキは剣術使いでも無ければ、忍びの者でも無い。イザベラに見られている事など露をも知らず、闊達な笑顔でモンタに付いて行き、集会所に着いた。「ロキお兄ちゃんが、食い物持って来てくれた。」モンタは、中に入ると大きな声で言った。食い物、という言葉に惹かれたわけでも無いだろうがゾロゾロと例の子供達が姿を現した。ロキは手近に有った机の上に風呂敷包みを置くと、早速紐解いて重箱を並べ始めた。「エッヘヘヘ、オイラ、ロキって言うんだ。モンタとはもう仲間になったんだよお。他のみんなも宜くなあ。」重箱を並べ終えると、浮浪児の一団を見回してロキはカラっと笑いながら言った。
明るいロキの笑顔に対し、浮浪児達の表情はぎこちなく暗い。「どうしたのお。これきっと美味しいよお。」とロキが重箱を手に取って差し出した直後、背後からヒヤリと首筋にヤイバが突き付けられた。ロキは笑顔を仕舞いこんだが、さして驚いた風も無かった。やれやれと呟きながら、面白くも無いという顔付きになって、ゆっくりと後ろを振り返った。手槍を突き付けたホウゾインが複雑な目付きで見下ろしている。「驚かないんだな。小僧。」「おじさん、誰? オイラに刃物突き付けてどうしようっていうのお。」ヘラヘラとロキは強がって見せる。モンタを見ると、泣きそうな顔になって両手でロキを拝んでいた。「お兄ちゃん・・・・・・ごめんなさい。」ロキは殊更に顔を和らげて、モンタの方に向け、「いいよお。こんな事も有るさ。オイラ、気にして無いよお。」と言った。とは言え、首筋に突き付けられている槍の穂先が愉快と言うわけでも無さそうだ。「いい加減、これどけてくんない。鬱陶しいんだけどお。」「この状況で驚かねえとは、見掛けによらず、フテえガキのようだな。」ホウゾインは槍を手元に引き寄せ肩に担ぎながら、不機嫌げに顔を歪めてロキに言った。落ち着いたロキの態度が気に入らないらしい。「驚くより呆れてるんだよお。いい大人が子供使って子供攫わせたりするんだから。」へんっ、とロキは横柄に答えた。ホウゾインさんの事を悪く言うな。」



Posted by AmandaMonroe at 02:53│Comments(0)
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