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で戦意喪失しているようだな」

2023年10月22日

で戦意喪失しているようだな」

 尾関がフランス軍兵を一瞥して小声でいった。

「かれらは、ぽちのようにちっちゃくてかわいらしい仔犬みたいな男をあしざまにするくらいがせいぜいなんでしょう」

 つづいて、尾形も小声でいう。

『ちっちゃくてかわいらしい仔犬』

 本人がきいたら、尾形を駆逐したくなるのであろうか。

「いっそ斬りこんでみるか?」

 そのとき、とんでもないことを提案してきたのは安富である。 http://jennifer92.livedoor.blog/archives/33568816.html https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/10/22/004243?_gl=1*1vhfuzm*_gcl_au*NDk5MTMyMTEwLjE2OTI0NTg3NDE. https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post501639067// 意外にも、安富は結構ムチャぶりをしたがるときがある。そして、それを実際にしてしまうこともある。

 ただ、それをいまやったら完璧アウトだろうと思う。

 ということは、かれは大好きなお馬さんたちに確実に会えなくなってしまう。

「おいおい。そうを申すな。忘れたか?われわれは時間稼ぎをするだけでいいのだ。ここで死んでしまっては、なにもならぬからな」

 さすがは島田である。はやる安富をなだめにかかった。

 そのとき、びびったからか、あるいは焦りや不安かからか、フランス軍の兵卒が発砲してしまった。とはいえ、敵に狙いを定めるでもなく、ただ威嚇射撃をしてしまったっぽい。

 銃の発射音が海上に響き渡ると、敵も反射的に銃の引き金をひいてしまったようだ。

 銃をてんでばらばらに撃ってきた。

「Oh la la!」

 そのとき、最前列にいたフランス軍兵卒の間からおなじ感嘆語がもれた。

 てっきり敵が発砲してきたことにたいしての反応かと思った。
 が、どうやらちがうみたいである。

 相棒である。かれらのまえで四つ脚をふんばっている。
 かれらは、相棒にたいして驚いているみたいだ。

「マジかよ」

 思わずつぶやいてしまった。

 まえにいる人たちでよくみえなかったが、どうやら相棒は飛んできたを、口にくわえているではね飛ばしたか斬るかしたらしい。

 以前、相棒は敵の斬撃をで受け止めたことがあった。
 そのときにはおれがそれを教えたから、てっきり教えたことを実践しているのかと思いこんでいた。

 が、実際はちがった。
 
 相棒もまた俊冬や俊春同様、古今東西ののすぐれた遺伝子と狼の遺伝子操作でもって生まれたスーパードッグである。

 俊冬いわく、このくらいの攻守は教えずとも軽くできるらしい。ってか、殺陣をみただけでその動きをインプットできるらしいから驚きである。
 
 これまでは、そういう力を隠していたにすぎないというわけだ。

 戻ったら、相棒に剣の教えを乞うた方がいいだろうか。

 それにしても、その遺伝子の筆頭が副長ってところが、いまだにミステリーである。

 ほかの超絶優秀ですごい遺伝子が、唯一劣等な遺伝子をカバーしているのだろうか。

 ぶっちゃけ、いろんな意味で信じられない。

 相棒にかぎっては、副長の遺伝子と信じられる要素は『沢庵好き』という一点だけである。

 その疑惑は兎も角、一瞬敵の攻撃がやんだ。

 しかし、いまからはちがう。
 敵の士官が、いままさに本格的な攻撃を開始する合図を送ろうとしている。

 ご丁寧に、木箱でも運んできたらしい。銃をかまえる兵卒たちのうしろに、それを置いてその上に立ち、まだ明けきらぬ暗い空に采配がわりにを握ってかかげている。

「撃ち方はじ……」

 敵の士官がそう叫びかけた。
 この間、たったの数秒である。

 叫びがおわるまでに、かれの握る 掌をのばし、回天の船首からぶら下げられている縄梯子にすがりつこうとした。

 その瞬間である。

「……」

 背後で士官の命令がきこえた、ような気がした。

 もうダメか、って思う間もなかった。

 一瞬、瞼をとじてしまった。

 が、まったくなにも起こらない。も砲弾もなにも飛んでこない。

 それどころか、背後から悲鳴がおこったのである。

 うしろを振り返った。仲間たちごしに、敵が大混乱に陥っているのがみえる。

 敵のだれ一人、おれたちをみている者はいない。だれもが、おれたちとは反対のほうを向いている。

「いまのうちだ。はやくしろっ」

 俊冬が叫びつつ掌を差し伸べてきた。その掌をがっしりつかみ、引き上げてもらった。

 縄梯子をよじ登ったり引き上げたりして、全員が回天にもどることができた。

 相棒だけは、甲鉄の甲板から回天のへ華麗にジャンプしてもどってきた。

「撤退、撤退っ!」

 荒井の号令以下、甲賀が身を伏せた状態で操艦する。

 その隣には、俊冬がぴったりはりついている。

 回天は、不気味な音を立てつつ甲鉄からはなれようとする。

 それはもう、



Posted by AmandaMonroe at 17:08│Comments(0)
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