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「ええ。ですが、やっとの考えと一致する藩を見
2023年12月11日
「ええ。ですが、やっとの考えと一致する藩を見付けたのです。土佐──かの藩こそが希望」
その言葉に、桜司郎は伊東の欲していること──自分が呼び出された理由を察する。僅かに目元を動かせば、伊東は三日月のように口角を上げた。
「聡い貴殿ならもうお分かりでしょう。桜司郎君、貴殿の友人を──へ紹介して下さい」
伊東が坂本の名を出した瞬間、鈴木は驚いたように桜司郎を見遣り、斎藤は眉を動かす。
それもその筈で、坂本の名を知らぬ者はいない。お尋ね者として出回ったからだけでは無く、実も才も器も持ち合わせた男……そして日ノ本を動かすかもしれぬ者として名を上げてきているのだ。
「…………伊東参謀!私が彼と交友があるという事は、貴方の胸に秘めるという話しだったはず。鈴木先生や斎藤先生の居る場で言葉にするのは約束破りでは無いでしょうか」
非難するように言えば、伊東は肩を竦める。https://www.liveinternet.ru/users/carinacyril786/post502400546// https://www.bloglovin.com/@carinacyril/12261352 https://plaza.rakuten.co.jp/carinacyril786/diary/202312080002/
「そこについては申し訳ないと思っております。しかし、特に斎藤君に関してはの護衛をして頂いておりますから。いずれにせよ知るところとなりましょう」
「開き直るおつもりですか……!」
「開き直るとは人聞きの悪い。もし、この御陵衛士が活路を見い出すことが出来ぬとすれば、皆が路頭に迷うことになります。……どうか、貴殿が我らのことをまだと思うならば頼みます」
それを聞いた桜司郎は腿の上に置いた拳を握った。本来ならば、伊東の言うことを聞いてやる義理などない。
しかし──
「……あの方は、一箇所に留まりません。雲のような人です。故に私にもその居場所は分かりかねますし、仮に連絡が付いたとて会ってくれる確証もありません。それでも宜しいですか」
込み上げる腹立たしさを抑え、なんと言うことを飲むことにした。
「ええ、無論構いません」
了承したことには理由があった。坂本の考えには桜司郎自身も賛同する節がある。そんな彼ならば、伊東が秘めたる野心を諌めてくれるのではないかと考えたのだ。そして、このまま跳ね除けたとて、窮地に立たされた者がどのような行動へ出るか──多少は繋がりのある薩摩の言いなりになり、結局は武田のような末路を辿ることになるだろう。
同じ時を過ごした者がそうなってしまうのは忍びない上に、斎藤と藤堂が巻き込まれてしまうのは沖田を悲しませることになると思った。
──それにしても、先程伊東さんが口にした藩。長州こそ無かったが、どれも西国ばかりだ。やはり彼らが倒幕に向けて手を組み始めたというのは、本当なのか。 その後、桜司郎は伊東に誘われて小さな中庭へ来ていた。そこには萩の木が一本だけ植えられている。やや小ぶりながらも、月明かりを浴びて花が咲き乱れていた。
「我が屯所、月真院は萩の名所でしてね。それは風流なのですよ。いつか桜司郎君にもお見せしたいものです」
伊東は花弁へ手を伸ばし、満足気に微笑む。町娘が見れば黄色い声が上がりそうな画だと思いながら、桜司郎は視線を地面へ落とした。散ったそれが土へ同化している。
「……機会があれば」
彼女自身もは花が好き。名に桜の文字が入っているからか、特に桜を好ましいと思っていた。少し前までは純粋にその美しさを愛で、散った後も次の開花を心待ちにしていた。
「おや、花は嫌いですか?」
「……どちらでもありません。ですが、
その言葉に、桜司郎は伊東の欲していること──自分が呼び出された理由を察する。僅かに目元を動かせば、伊東は三日月のように口角を上げた。
「聡い貴殿ならもうお分かりでしょう。桜司郎君、貴殿の友人を──へ紹介して下さい」
伊東が坂本の名を出した瞬間、鈴木は驚いたように桜司郎を見遣り、斎藤は眉を動かす。
それもその筈で、坂本の名を知らぬ者はいない。お尋ね者として出回ったからだけでは無く、実も才も器も持ち合わせた男……そして日ノ本を動かすかもしれぬ者として名を上げてきているのだ。
「…………伊東参謀!私が彼と交友があるという事は、貴方の胸に秘めるという話しだったはず。鈴木先生や斎藤先生の居る場で言葉にするのは約束破りでは無いでしょうか」
非難するように言えば、伊東は肩を竦める。https://www.liveinternet.ru/users/carinacyril786/post502400546// https://www.bloglovin.com/@carinacyril/12261352 https://plaza.rakuten.co.jp/carinacyril786/diary/202312080002/
「そこについては申し訳ないと思っております。しかし、特に斎藤君に関してはの護衛をして頂いておりますから。いずれにせよ知るところとなりましょう」
「開き直るおつもりですか……!」
「開き直るとは人聞きの悪い。もし、この御陵衛士が活路を見い出すことが出来ぬとすれば、皆が路頭に迷うことになります。……どうか、貴殿が我らのことをまだと思うならば頼みます」
それを聞いた桜司郎は腿の上に置いた拳を握った。本来ならば、伊東の言うことを聞いてやる義理などない。
しかし──
「……あの方は、一箇所に留まりません。雲のような人です。故に私にもその居場所は分かりかねますし、仮に連絡が付いたとて会ってくれる確証もありません。それでも宜しいですか」
込み上げる腹立たしさを抑え、なんと言うことを飲むことにした。
「ええ、無論構いません」
了承したことには理由があった。坂本の考えには桜司郎自身も賛同する節がある。そんな彼ならば、伊東が秘めたる野心を諌めてくれるのではないかと考えたのだ。そして、このまま跳ね除けたとて、窮地に立たされた者がどのような行動へ出るか──多少は繋がりのある薩摩の言いなりになり、結局は武田のような末路を辿ることになるだろう。
同じ時を過ごした者がそうなってしまうのは忍びない上に、斎藤と藤堂が巻き込まれてしまうのは沖田を悲しませることになると思った。
──それにしても、先程伊東さんが口にした藩。長州こそ無かったが、どれも西国ばかりだ。やはり彼らが倒幕に向けて手を組み始めたというのは、本当なのか。 その後、桜司郎は伊東に誘われて小さな中庭へ来ていた。そこには萩の木が一本だけ植えられている。やや小ぶりながらも、月明かりを浴びて花が咲き乱れていた。
「我が屯所、月真院は萩の名所でしてね。それは風流なのですよ。いつか桜司郎君にもお見せしたいものです」
伊東は花弁へ手を伸ばし、満足気に微笑む。町娘が見れば黄色い声が上がりそうな画だと思いながら、桜司郎は視線を地面へ落とした。散ったそれが土へ同化している。
「……機会があれば」
彼女自身もは花が好き。名に桜の文字が入っているからか、特に桜を好ましいと思っていた。少し前までは純粋にその美しさを愛で、散った後も次の開花を心待ちにしていた。
「おや、花は嫌いですか?」
「……どちらでもありません。ですが、
Posted by AmandaMonroe at 16:23│Comments(0)