My Magic Dairy › 」という一杯呑み屋がある

」という一杯呑み屋がある

2023年07月27日

」という一杯呑み屋がある。宇八のいきつけの呑み屋だ。さきにいっててくれ。おれと左之も、すぐにゆくからよ」

 宿をでてしばらくあゆんだ四つ角で、永倉が林らをうながす。「斎藤先生、双子先生。それから兼定、お元気で」

 林がいい、五人は同時に頭をさげる。

「おっと、兼定の世話係の主計。みなの足手まといにならぬようにな」

 林は両膝を折り、お座りしている相棒を撫でながら、にんまり笑う。

「ちょっ、ひどくないですか?」

 つられて笑いつつ、クレームをつける。
 そして、掌を差しだす。

 一瞬、林は驚いたようだが、これが異国人の習慣であることに思いいたったようである。笑いながら、掌を差しだしてくる。

 かたい握手をかわす。ついで、https://www.beclass.com/rid=284b23b64b2491cacb2e https://lefuz.pixnet.net/blog/post/102809669 https://wow.esdlife.com/space.php?uid=133835&do=blog&id=466191 矢田、中条、前野、松本と握手をかわす。かれらは斎藤と双子とも握手し、相棒を撫でてから去っていった。


「くそっ!まさか、宇八のやつが先手をうつなんて、思いもよらなかった」

 かれらの背をみ送ってから、永倉が軍靴で地面を蹴りつつくさる。

「よほど、お二人にきてもらのでしょう」

 大人なおれは、あたりさわりのないことをいっておく。

「ああ、主計?おまえの考えてるとおりだ。あいつは、京で名を馳せ幕臣になったおれたちを、やっかんでるだけだ」
で、またしても心中をよんでくる。

「でっ、そのおれたちの上の立場に立ち、顎でこきつかいたいってな」

 原田は、怒りというよりも呆れている。

「やってられるか。やつなど・・・」

 永倉はいいかけ、口をとじる。

『くたばっちまえばいいんだ』

 そういいたかったにちがいない。

「あの・・・。いったかもしれませんが・・・」

 いくらこすい男とはいえ、かれのをしっている以上、それをしらぬふりするのも気がひける。

「市川さんも亡くなります」

 永倉のをしっている以上、それをしらぬふりするのも気がひける。

「市川さんも亡くなります」

 永倉ののだれかが死ぬというよりか、はるかにテンションが低い。

「ちっ、その気はないってのに、このままあいつに合流したら、あいつの思うつぼだ。こうなりゃ、すこしでもはやく抜けてやる」
「新八・・・」

 原田が慰めるかのように、永倉の肩に掌をおく。

「永倉先生、原田先生」

 そのタイミングで、それまでずっとだまっていた俊冬が、一歩まえにでる。同時に、懐から布包みをとりだし、永倉と原田に差しだす。

「局長より、預かっております」

 永倉はなにかわからぬまま、さしだされた布包みを受け取る。

「そのままお伝えします」

 俊冬は、永倉と原田のまえで脚を肩幅にひろげ、息をすいこみそれをとめる。

「新八、左之。これまでのこと、心より礼を申す」

 その一言・・・。
 いわれた永倉と原田は息を呑み、それを盛大にふいてしまう。

「近藤さんまんまじゃないか」
「さすが俊冬!近藤さんだ」

 永倉も原田も茶化しているが、その声はそうとうにしんみりしている。

「そのすべての労に報いたいところなれど、状況が状況であるためなにもできぬ。準備したもので、わたしの感謝の気持ちのすべてではない。なれど、それがなんらかの形でおまえたちの役に立つよう、切に願っている。たとえいかなる別れ方をしようとも、わたしはおまえたちを信じている。総司や平助、そして、歳や斎藤君には、おまえたちの存在そのものが、力強く感じられるであろう。おまえたちはおまえたちらしく、おまえたちの道をあゆみつづけてほしい。たとえ、なにがあろうと、おころうとも。おまえたちはもう、新撰組とはなんのかかわりもないのだから・・・」

 局長・・・。これほど感動的な別れの辞を、これまでにきいたことがあったであろうか。

 しれず、涙が頬をつたっていることに気がつく。
 そっとみまわすと、メッセンジャーの俊冬以外、涙を流している。

 永倉の胸にある布包みのなかみは、金子にちがいない。

 永倉は、胸元の布包みをぎゅっと抱きしめ、無精髭におおわれているで、それを頬ずりする。


「あんたは、いつだってそうだ。「池田屋」のあとのことだってそうであろう?新撰組のために、あんたが悪者にならなきゃならなかった」

 永倉が、ここにはいない局長に訴える。

「池田屋」のあとにつづく「禁門の変」の後のことである。新撰組の活躍を、会津が高評価してくれた。それこそ、星が四つ半つくくらいに。
 それにより、局長が増長したとして、永倉と原田が中心となり、会津に訴えでた。
 かれは、そのことをいっているのである。

 そういえば先夜、永倉はそのことをいいかけ、中途でやめていた。副長がやってきたからである。


 新撰組は、「池田屋」とそのあとにつづく「禁門の変」あたりが、絶頂期だったのかもしれない。

 それは兎も角、その大手柄により、局長が調子こいているというのだ。それを諫めるため、永倉と原田が中心となり、会津に訴えでたのである。

 史実では、永倉や原田は、切腹を覚悟していたらしい。

 結果は、会津のとりなしでことなきをえた。


 その一件が、なんらかの理由によって仕組まれた芝居だったとでもいうのか?

 ちぇっ・・・。おれの



Posted by AmandaMonroe at 20:41│Comments(0)
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